死亡保険金に贈与税がかかるケースや計算方法をモデルケースで解説!

死亡保険金を受け取った際には「所得税」「相続税」「贈与税」がかかることがあります。ここでは、どのようなケースにどの税金がかかるのかケース別にご紹介するとともに、贈与税の計算方法や贈与税は相続税対策に役立つのかどうかなどについて解説していきます。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!

生命保険の死亡保険金に贈与税がかかるのはどのようなケース?

生命保険に加入する目的のひとつとして、生命保険金を使った相続対策というものが注目されています。


そこには、死亡保険金にかかる税金は相続税になり、贈与税よりも税金が安くてすむという理由があるからではないでしょうか?


しかし、契約の仕方によっては、実際に死亡保険金が支払われる際に、相続税ではなく贈与税がかかるケースがあるのです。


そこで、この記事では

  • 死亡保険金に贈与税がかかるのはどんなケース?
  • 死亡保険金に贈与税がかかった場合をモデルケースで解説
  • 死亡保険金に贈与税がかかった場合には確定申告は必要?
について解説していきます。


この記事を読んでいただくと、生命保険の死亡保険金と贈与税の関係や、相続における税金対策としての無駄のない加入の仕方がご理解いただけると思います。


是非、最後までご覧ください。

「契約者」「被保険者」「受取人」が全て異なる場合に贈与税がかかる

生命保険に加入している人の中には、死亡保険金には税金がかからないと思っている方もいますが、これは間違いです。


確か死亡保険金には、生命保険の相続税基礎控除というものがあり、500万円×法定相続人数までは税金がかからないとされています。


また、この生命保険相続税基礎控除が適応されるのは、あくまで相続財産として認められた場合であって、契約の仕方によっては、これが認められないケースもあるのです。


たとえば、「契約者」「被保険者」「受取人」が全て異なる場合は贈与税の対象となり、生命保険相続税基礎控除は認められないことになります。


ここからは、生命保険の契約の仕方と税金の関係について解説していきます。

死亡保険金に贈与税がかかるケース

生命保険は契約の仕方によって、かかってくる税金の種類が変わってきます。


死亡保険金を受取ったら贈与税を払わなくてはならなかったというケースも実在します。


死亡保険金が贈与税の対象となるケースとしては、契約者・被保険者・受取人がすべて異なるケースです。


これは、言い方は悪いかもしれませんが、契約者が被保険者の体を使って、受取人に死亡保険金としての現金を作ってあげた(あるいは移転した)とみなされるのです。


その場合、贈与税の基礎控除額(一年間に110万円)を超えていれば、受取人には贈与税がかかることなり、納税の義務が生じることになります。

死亡保険金に所得税、もしくは相続税がかかるケース

死亡保険金にかかる税金は、所得税や相続税の場合もあり、これも契約の仕方によって違ってきます。


死亡保険金に所得税がかかるケース


死亡保険金に所得税がかかるケースは、契約者と受取人が同じケースです。

このケースでは、契約者が被保険者の体を使って、自分のために死亡保険金を作ったとみなされるのです。

このケースでは、死亡保険金が受取人の一時所得とみなされます。

一時所得については、次の計算式によって計算された一時所得金額の1/2に相当する金額を他の所得と合計して税金を納めることになります。

【総収入金額(死亡保険金額)-収入を得るために支出した金額(総払込保険料)-特別控除額50万円=一時所得の金額】

つまり、死亡保険金と総払込保険料の差が50万円以内なら死亡保険金に税金はかかりません。


また、一時受け取りではなく、年金受け取りの場合は、雑所得扱いとなります。


死亡保険金に相続税がかかるケース


死亡保険金に相続税がかかるケースは、契約者と被保険者が同じで、受取人がその相続人である場合です。

この場合、死亡保険金には生命保険相続税基礎控除(いわゆる生命保険の非課税枠)が設定されており、500万円×法定相続人数までは税金がかかりません。

逆に言えば、非課税枠を超える金額については相続税がかかってくるということになります。

生命保険の死亡保険金にかかる贈与税の計算をモデルケースで解説!

生命保険の契約において、契約者・被保険者・受取人が全て違う場合、その死亡保険金額には贈与税がかかってきます。


このような契約の仕方は通常あまりありませんが、子供の進学費用を貯めるための「学資保険」や年金を積み立てるための「年金保険」や「養老保険」などではこのような契約の仕方も見受けられます。


契約者・被保険者・受取人が全て違う場合に掛かってくる贈与税ですが、どれくらいの税額がかかってくるか気になるところではないでしょうか?


ここからは、その贈与税の金額の求め方や、具体的なモデルケースによる解説を行っていきたいと思います。

贈与税の金額の求め方

死亡保険金に限らず、贈与税には決められた計算式があり、下記のとおりです。


【受取った金額(死亡保険金額)-基礎控除額(年間110万円)=課税価格】


ですので、受取った死亡保険金額が110万円以下の場合、死亡保険金には贈与税はかかりません。


110万円を越えた場合、下記のような計算で贈与税額を求めることになります。


【課税価格×税率-速算控除額=贈与税額】


ちなみに、平成27年以降の贈与税率は「一般贈与税率」と「特例贈与税率」に区分されることとなったため、注意が必要です。


詳しくは、国税庁のホームページをご参照ください。

モデルケースで分かりやすく解説!

ここからは、具体的なモデルケースをあげ、死亡保険金にかかる贈与税の計算を行ってみることにします。


例えば、契約者:夫 被保険者:子供 死亡保険金受取人:妻 という契約で、保険金額1000万円の終身保険に加入している家族がいたと仮定します。


もし、途中で子供が死亡した場合、妻に1000万円の死亡保険金が支払われます。


この場合、契約者・被保険者・受取人が全て異なるため、贈与税の対象となります。


この死亡保険金の贈与税額の計算は次のとおりです。


死亡保険金:1000万円ー基礎控除:110万円=課税価格:890万円


課税価格:890万円×税率40%-125万円=贈与税額:231万円


となり、死亡保険金額1000万円に対して231万円の贈与税を払わなくてはならないということになります。

死亡保険金に贈与税が発生する場合は確定申告をする必要がある

生命保険の死亡保険金を受け取った際に、もしその保険金が贈与税の対象とり、さらに110万円の非課税枠を少しでも超えていれば、贈与税の申告が必要となります。


その場合の申告は「確定申告」という方法で、自分で行わなくてはなりません。


確定申告とは、前の年1年間の間に、予定にはない収入があり、その収入に対して税金を納めていない場合に、自分で申告し税金を納めるというものです。


その際は、受取った死亡保険金(他に贈与されたものがあればその金額も合算)から110万円を引き、残りの金額に対し申告をします。


この確定申告については、いつ申告してもよいというものではなく、基本的には贈与を受けた年の翌年の2月16日から3月15日の期間となっています。

死亡保険金に贈与税がかかるケースのまとめ

ここまで「生命保険の死亡保険に贈与税がかかるケース」について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは

  • 死亡保険金に贈与税がかかるのはどんなケース?
  • 死亡保険金に贈与税がかかる場合のモデルケースと贈与税の計算
  • 死亡保険金に贈与税がかかる場合には確定申告が必要となる
です。


生命保険加入の大きな目的の一つは、残された家族の生活費確保かと思います。


しかし、せっかくの生命保険も、その契約の仕方一つで税金の額や非課税金額が変わり、残せる金額が変わって来てしまいます。


契約の仕方と税金の関係を理解することによって、無駄のない保険加入につなげましょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。

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